民主的な運営を保証する、相互牽制・チェックシステムとしての「理事の代表権・代表理事」
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平成24年4月から施行された、改正NPO法では、NPO法人の
代表権についての規定が変わりました。
「特定の理事に、法人を代表する権利を持つ者を制限できる」という主旨。
会社でいうと、「代表取締役と取締役」の違いです。NPO法人では、「代表理事と理事」という肩書きの違いです。
実はそれまでは、理事全員が法人を代表する「代表権」を持つという法の規定になっていました。
それは、NPO法人の意志決定や運営が、ひとりの理事長の勝手放題にならないよう、理事会全体で議論し、決定して遂行する理事の 権利を、制度として保証するものでした。...
ひとりの代表権者が暴走したら、制度的な手続きをとらなくても、他の理事が替わって代表権を行使できるので、結果として、暴走を 牽制・抑止することになります。
逆に言えば、勘違いした理事長のやりたい放題が、ありがちだからかもしれませんね。^^;
改正後は、これまでと同じ一般的な定款モデルでは、定款の文面自体が変わっていないにもかかわらず、理事長ひとりが代表権を持つ ように読み替えられることになりました。
意識して、定款に「理事全員が代表権を持つ」と書かない限り、「理事長はこの法人を代表する」という、一般的な表現で、他の理事 の代表権がなくなります。
その分、理事の責任はたいへん軽くなり、理事会で議論されていないことや、理事会で反対した事項については、責任はかからなくな ります。
理事たちにはからず、理事の知らないところで、理事長が法人を代表して勝手をやっても、その責任は理事たちはとる必要がありませ ん。
理事の責任は、一点、その理事長を選んだということなのでしょうね。
旧来の組織運営にありがちな欠点をなくし、民主的な組織運営を徹底させ、その情報を公開して、市民がチェックすることでなりたつ 、NPO法人。
だからこそ、書面で必要事項が整っていれば法人化を認める、認証手続きでOKとなったはずなのですけれど。